MATAM RECORDS

大地に響き渡る鼓動がドラマチックに繰り広げられる!!!

打楽器隊のユニゾンに始まりリズムチェンジをしながら大胆に美しく滑走していく。幕開けの締めくくりはジャズとアフリカが直結。次々に押し寄せるリズムとメロディーに揺さ振られながら展開を繰り返し物語は始まります。
(MATAM RECORDS)

●4thアルバムBlue Moment(ブルーモーメント)について
今回は今までにリリースしてきた作品の中からアイデアやライブから得た物を自分なりに表現しました。特にレギュラーライブにおいては、まんねりを超えた時に絞り出される音がしまいこんでいた物を呼び出したり、又新たな音が生れたりと有意義な1年間でした。

最初に一曲目の"Ground Gate"の構想が具体的に音としてイメージがわいてきました。冒険映画のワンシーンのようなスケール感のある曲。架空の大地で繰り広げられるストーリーというようなイメージで作りました。物語の始まりは、打楽器の大行列から始まるお得意のユニゾン(同じフレーズを同時に演奏)です。中盤にリズムチェンジをした後スピードアップしたリズムでたたみかけました。幕開けのラストシーンはジャズと民俗音楽を直結してみました。"Ground Gate"はこうして誕生しました。2曲目の"Horizon"はラテンとフュージョンを合わせた雰囲気でミックスにはずいぶん時間をついやしました。"Village Gate"とはNYの老舗クラブで今は無くなってしまいましたが毎週月曜に行われるラテンジャズセッションが楽しみで欠かさず見に行ってまた。スタープレーヤーが白熱の演奏をたっぷりと聴かせてくれあっという間に夜がふけていきました。ライブを録音していて何度も注意された思い出があります。"Mercado"はスペイン語でマーケットという意味です。レギュラーライブで出演していたイベントタイトルでもありましたが色んな人や物があわただしく動き活気のある市場といった感じです。"Kioku"は"記憶"。子供の頃にほんとにあったと思い込んでいる、あるはずの無い幻想を思い出して。"Moonset"は月の入り。沈んでゆくあやしげな月が大きく近くに見えたり次の瞬間遠くで小さく見えたり。"Butterfly Bee"はライブでは必ず演奏する曲で基本は打楽器だげで構成していましたが今回色んな音をデコレーションしてみました。"Esperanza"はこれもスペイン語で希望という意味。その名の通りのイメージで構成しました。"Uoo-Doo"はユニゾンに使用している陶器の楽器の名前にちなんで名付けました。ダルブッカとウドゥーによる64小節におよぶロングソロ。最後はアルバムタイトルでもある"Blue Moment"です。夕日が沈んだ後、反対の空にほんの少しの間現れる真っ青な夜空の入り口。やがて押し寄せる波とともに昼間の雑踏を洗い流し夜の帳へいざなう。

レコーディング中はイメージ通り、又はそれ以上になった曲がほとんどですが中には思わぬ方向に進む曲もありました。音を重ねていくと、楽器同士が響きあいもう一つ音が生れるこという現象です。新たな音に刺激され又違ったアレンジになるといった具合にどんどん姿を変えていく曲もありました。使用楽器はConga,Timbales,Bongo,Djembe,Shekere,Kalimba,Udu,Drums,Bsss,Synなど。 唯一の国産シンバル工場の小出シンバル。工場を訪れた時この楽器で録音しようと決めて以来数年が経ちました。楽器の改良や新製品など、おしみなく協力してくださったことに感謝します。

レコーディングが終わりレギュラーライブを一度打ち切ることにし作品の最終仕上げに入りました。振り返ると幸運だったのはマイクからの音を忠実に取り込むためのプリアンプは業務用の中でも最高水準かつ非公開の物を使用する事ができたこでした。CDになるまでの音をイメージしながらの遠藤さん録音技術は本作品を聴いていただけると納得できるはずです。 仕上げにはデジタルとアナログ機材を駆使し音の入り口と出口をがっちりと固め、録音、ミックス、マスターリングという作品造りの流れを同じメンバーで出来たことに大満足しています。そしてアルバム"Blue Moment"が完成しました。
【Word by Ken-i-chi Yamakita】

●試聴について
こちらからのサイトで試聴できます

●Review(レビュー):アルバム”Blue Moment”について。

□武山 匡哉(T.F.L/栄4〜5丁目散歩廻)
現在の日本の音楽シーンにおいて、一番注目しているパーカッショニストは誰?と問われれば、僕は真っ先に山北健一をあげる。 山北の縦横無尽なプレイスタイル、、、それは「手首の柔かさ」と「打撃の確かさ」、そして今までの彼の音楽人生で蓄積されてきた知識と経験の産物だ。しかもその知識と経験は半端なく膨大である!そんな山北健一のソロアルバム4作目が、この「Blue Moment 」だ。彼の基本はシュアなラテンサウンドであるのは間違いないが、今作「Blue Moment 」ではそんなラテンの領域を軽々と飛び越えている。驚くべきことに、山北は全曲において多彩な楽器を一人でプレイし、ユニゾンと激しいリズムチェンジを繰り返しながら一曲一曲を丁寧に作り込んだ。それは土着民俗的でもあり、都会的でもあり、プリミティブなのにフュージョンでもある。そしてとても良質な現代進行形のジャズサウンドだ!また今回の録音については、いまだ非公開の国内最高の機材も先んじて使っている。
全てが用意され、完成された音楽。音楽好きを自認するあなたに是非聞い てもらいたい1枚だ。

□塚本功(Sly Mongoose/THE HELLO WORKS,etc)
純度が、濃度が、この上なく高いエネルギーの塊が、山北健一氏の両腕から、数種の打楽器を通して放出される、そのソロライブパフォーマンスに打ちのめされて以来、氏のやることなら何でも崇めてしまう僕にとっても、この新しい録音作品は、とても意表をつかれた何とも楽しいアルバムだ。ドラムやら、ベースやら、シンセやら。ラテンでも、アフロでもフュージョンでも何でもいい。山北さんについていこう。

□Yama a.k.a.Sahib
彼が放つ鼓動の粒は、重なり合い、リズムとなり、構築され、音楽になる。いつもそう感じる。彼の作品はDJとして言わせてもらえば非常に扱いやすい。何故ならば、リズムにブレが無いからである。コンピューターに入れQuantizeをかけているならそれも分かるがその作業は一切無いという。超人的なリズムキープ力である。 毎回、彼がレコーディングに入ったと聞かされると完成された作品が手元に届く日を心待ちにする。そしてそれを手にした時、抱いていた期待を遥かに上回る感動と驚き、また、その制作のプロセスや楽曲の構造への興味がむくむくと湧き上がるのだ。
これまでの作品、『Compound』『Talking Drum』『Abanico』は全てを打楽器だけで奏てきたが、今作品ではドラム(これも打楽器だが)、ベースなどをプレイしている。山北健一スーパーバンドなのである。メンバーは山北健一ただひとりだ。
レコードディングに入る前に"pop"について彼が語っていたことを思い出す。彼なりの"pop"があなたが手にしたこの作品の中にあることだろう。封を開いたその瞬間、音の粒が渦巻き、うねり、大波となりあなたを包むだろう。そしてパーカッショニスト山北健一の探求の結果に酔いしれていただけるに違いない、そう僕は思っています。
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Blue Moment(ブルーモーメント) / Ken-i-chi Yamakita
MATAM Records MAT - 004 ¥2,500 ( incl tax )